赤い夕顔の花が咲いた42
「お母さま。きれいな花」
「長五郎。これは、夕顔の花ですよ。
美しい花ね」
お万がいいました。
長五郎は、夕顔の花をじっとみて
います。
「そうべえさん。この家のかたに
お願いして、夕顔の花を一つ分け
ていただきましょう」
「奥がたさま。そんなことをして
はいけません。
奥がたさまだということが、ばれ
てしまいます。
黙って、一つだけ花をいただきま
しょう」
「そうべえさん。それでは、どろ
ぼうになってしまいます。
たとえ、夕顔の花一つでも、だま
って人の物をとってはいけません」
お万が、そうべえにいいました。
つづく
昨日の分は、こちら。
赤い夕顔の花が咲いた41
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080915#p1
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。