赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた45


「何、権現城の奥がただと。
あのたわけた城主の妻か」
「おばあさん。口がすぎます。



夕顔の花をとったのは、奥がたで
はありません。このわしです。
奥がたには関係ありません」
そうべえが、おばあさんにいいま
した。



「ほんとのことをいって、何が悪い。
ひどい殿様だと、みんなうわさして
いるぞ。
殿様は、領民たちからきびしく年貢
をとりたて、三つも城をつくったそ
うではないか。



城なんか一つあればいいのに、何で
三つも城をつくるのじゃ。
わしには、ようわからん」
おばあさんがいいました。



おばあさんのことばを聞き、お万は
「私も、盛永さまの気持がわかりま
せん」と、心の中でつぶやきました。


             つづく



    昨日の分は、こちら。


   赤い夕顔の花が咲いた44


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080918#p1




初めてこの物語を読んでくださった
 かたへ


     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



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て読むことができます。



「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。