竹取物語


 石上の中納言と燕の子安貝 12


中納言の様子を聞き、かぐや姫
お見舞いの歌を送りました。



 年を経て浪立ち寄らぬ住の江の

 まつかひなしと聞くはまことか



家来が、かぐや姫の歌を読んでき
かせると、中納言は気力が弱って
いたが、頭をもたげて、かぐや姫
に返歌を書きました。



 かひはかくありけるものをわびはてて

 死ぬる命をすくひやはせぬ



中納言は、かぐや姫に返歌を書
き終えると、ぐったりしてなくなっ
てしまいました。
かぐや姫は、中納言が亡くなった
ことを知り、気の毒に思いました。



そのことから、少しうれしいことを
「かいあり」というようになりました。


        つづく