火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 1


月のきれいな夜でした。
手長と足長は、諏訪湖で魚をとっ
ていました。
手長は、魚をとるのが上手でした。
今夜も、大きな鯉を三匹もつかま
えました。



「ねえ、あなた。明日の朝、この
鯉を明神さまに届けましょう」
「そうだね。明神さまは鯉が好き
だから、よろこぶじゃろ。大きな
鯉だから、さしみにして食べたら、
さぞうまいだろうな」
「甘露煮の方がおいしいわ」
手長がいいました。


        つづく