火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 12


第二章 再会 1


七日が過ぎました。
今日は、次郎と会う日。
早めに仕事を終えたきよは、西山に太陽
が沈む頃、次郎が住む西の村に向かって
出発しました。
「とうちゃん、かあちゃん。行ってきます」
「きよ、気をつけて行くのだよ。次郎君
によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれました。


「今夜は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみます。
何時間もかかる遠い道のりも、真っ暗な
夜道も、次郎に会えると思うと少しも苦
になりません。
しばらく行くと、あたりが真っ暗になり
ました。


きよはあかりに火をともし、諏訪湖のま
わりを足早に歩いて行きました。


        つづく