火とぼし山


[童話]火とぼし山


火とぼし山 20


第三章 湖の氷の上を歩く娘 2


明神さまは、諏訪地方を守っている神様。
農耕の神様・狩猟の神様・風の神様とも
いわれています。
明神さまは、下諏訪に住んでいる奥さん
の所へ行く途中でした。


「娘か。こんな寒い夜、あの娘はどこへ
行くのだろう」
娘のことが気になった明神さまは、そっ
と娘の後をつけました。


「みしっ」
「ばりっばりっ」
「ぱり」
娘が歩くたびに、氷の割れる音がします。
「あぶない」
「そっちへ行ってはだめ」
明神さまは、はらはらしながら、娘の後
をついていきました。


       つづく