火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 51


次郎の見合い 11


「きよが、次郎に会いにきたのだろうか」
明神さまは、そう思いました。
でも、きよではありません。
みたことのない娘でした。
明神さまは、あわてて桑のかげにかくれま
した。


「次郎さん、こんにちは」
「みよちゃん。どうしたの」
「私、次郎さんに会いたくて、ここへきた
の。次郎さんに会えて、うれしいわ」
娘が、うれしそうにいいました。
「みよちゃん。よくここがわかったね」
「おじさんに教えてもらったの」
「そうか。桑畑で、みよちゃんに会えると
は思わなかったな」
次郎が、にこにこしながらいいました。


        つづく