火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 60


湖を泳ぐ娘 6


「だいじょうぶ、次郎さん。気をつけて
泳ぐから。今夜は明るかったから、泳ぎ
やすかったわ。湖の水が、きらきら光っ
て、とてもきれいだった」
きよがいいました。


「きよちゃん。いくら明るくても、昼間
とはちがうんだよ」
「たとえ、真っ暗でも、次郎さんがとも
してくれる火を目印に泳いでくるから平
気よ」
きよのことばを聞き、自分がともす火が、
どんなに大切な火であるかということを、
次郎は知りました。


        つづく