火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 66


湖を泳ぐ娘 12


次郎は、自分の気持をコントロールすること
ができなくなっていました。
そのため、きよの話を聞いていませんでした。
「次郎さん。ぼんやりして、どうしたの。具
合でも悪いの」
きよが、心配して聞きました。
「いや、なんでもない」
次郎が、ぼそっといいました。
その夜、きよは一人でしゃべっていました。


次の朝。
「次郎さん。今度はいつ会えるの」
きよが、いつものように聞きました。
「秋のとりいれが終わってからかな」
「そんなのいや。せめて、月に二度は会い
たい」
きよは、自分の気持を次郎に伝えました。


         つづく