開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


開善寺の早梅の精 6


文次は、梅の花にみとれていました。
ふと気がつくと、目の前に美しい女の人が立
っていました。
女の人は、いつここへきたのでしょうか。


年のころは、二十才。
いや、もっと若いかもしれません。
清楚な、美しい人でした。
女の人は、紅色の着物の上に、白い上着をき
ています。
「なんて美しい上品な人だろう。梅の精みた
いな人だ」
文次は、心の中でそっとつぶやきました。


         つづく