ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」


   ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」2


姫のおとうさんは、小鳥が大好き。小鳥の鳴
きまねもとても上手でした。
「姫、きてごらん。椿の木にめじろがきてい
るよ」
庭へ小鳥が来ると、おとうさんは小鳥の名前
を教えてくれます。
姫は、小鳥の名前や鳴き声を、自然におぼえ
ました。
そして、小鳥たちと大の仲良しになりました。



夏のある朝。
「姫、姫―。きてごらん。朝顔の花が咲いたよ」
おとうさんが姫をよんでいます。
庭へでると、朝顔の花がたくさん咲いていました。
「わぁ、たくさんの朝顔!!」
姫は、一つ・二つ・三つと、花を数えはじめました。
しかし、たくさんすぎて、幼い姫には数えること
ができませんでした。
「ねえ、おとうさま。花はいくつ咲いているの?」
「ニ百位は咲いているだろう」
おとうさんはうれしそうにいいました。



姫が七才になった春のある日。
庭の桜が満開になりました。例年になく、美しい
桜でした。
「今年の桜は、みごとじゃのぅ」
おとうさんはごきげんでした。
「姫、いいものをあげよう。この鈴は、わが家に
伝わっている鈴だよ」
おとうさんは木箱に入った二つの鈴をくれました。



その鈴は、諸国を旅していた坊さんが、大江家に
泊まった時、お礼にくれたものでした。
「この鈴を大切にするように」
そういって、坊さんは立ち去ったそうです。
一つは、桜の花びらで囲まれた中に、小さな鈴が
入っていました。
「リーン・リーン・リーン」
鈴虫が鳴いているような、澄んだ音色の鈴でした。
姫はこの鈴がお気に入りで、なくなるまで大切に
していました。

 
   つづく




      「花のほほえみ」より ふしぎな鈴



リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と現
代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
風の神様が、そっと教えてくれたお話。



「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。
昨年九月、http://www.choeisha.com/
から、発行されました。



http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu3.html



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)