ふしぎな鈴「じいちゃんとばあちゃん」の章


ふしぎな鈴「じいちゃんとばあちゃん」の章2


夏のある朝。
かなとおじいさんは、暗いうちにおきて、
うらのりんご畑へ、せみの羽化をみに行き
ました。



りんごの木には、土の中からはいだしたば
かりのせみの幼虫が、たくさんとまってい
ます。
「わぁー。たくさんいる。じいちゃん、こ
れがせみの幼虫なの?」
「そうだよ。よくみていてごらん。もうす
ぐせみが生まれるから」



「じいちゃん、このせみなんていうの?」
「あぶらぜみだよ」
おじいさんは、あぶらぜみのことをいろい
ろ教えてくれました。



みていると、背中がぱかっとわれて、中か
らせみが元気よくとびだしてきました。
生まれたばかりのせみは、うすい灰色がか
った空色をしています。
小さく縮れていたせみの羽が、時間がたつ
につれ、だんだんにのびてきます。



体の色も、うすい茶色に変わってきました。
そして最後には、こい茶色になりました。
二人は、羽がのびきるまで、じっとみてい
ました。


        つづく



童話「じいちゃんとばあちゃん」は、
みほようこの三冊目の本、「ふしぎな鈴」
に収録されています。


「ふしぎな鈴」は、信州諏訪の「風の神様」
から聞いたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。



    ふしぎな鈴


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu3.html




http://www.bk1.jp/product/02593627