赤い夕顔の花が咲いた46
「殿様は、鹿狩りの最中、鉄砲や
弓で何人もの人にけがをさせたそ
うじゃのう。
不注意なのか、それともわざとや
っているのか。困った殿様じゃ。
みんな山へ行くのをこわがってい
るぞ」
「おばあさん、お願いです。
幼いこどもの前で、城主の悪口を
いわないでください。お願いします」
お万は、おばあさんにお願いしま
した。
「何をいっとる。すべてほんとの
ことではないか」
おばあさんは、権現城の近くに住
む親類の人から聞いたといううわ
さを、次から次へと早口でまくし
たてました。
お万は、おばあさんの話を黙って
聞いています。
つづく
昨日の分は、こちら。
赤い夕顔の花が咲いた45
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080919#p1
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。