鹿になった観音さま

　　　鹿になった観音さま３

「タケルたちは、いつからほえて
いるのですか」
「十五分くらい前からかのぅ。
最初は、本堂の前でないておった。
しばらくすると、裏山へ行ってし
まったのじゃ。
三郎さ。裏山になにかいるのじゃ
ろうか」

「さあ・・・。じゃあ、裏山へ行って、
タケルたちの様子をみてきます」
「三郎さ。たのんだぞ」
三郎は、いそいで裏山へ登ってい
きました。

「うー、わん、わん」
「わん・わん・わん」
タケルとチハヤが、大声でほえてい
ます。

　　　　　　　　　　つづく

　　　昨日の分は、こちら

初めて読んでくださったかたへ

「鹿になった観音さま」は、信州
の伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。