鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま11


実のこどものようにかわいがって
いたタケルとチハヤですから、無
理もありません。
「わしにもさっぱりわかりません。
きつねにばかされたみたいで・・・。
和尚さま、後で裏山へ行ってみま
しょう」



「じゃあ、観音さまを、本尊にお
供えしよう」
二人は、本堂へ行きました。
「あっ」
突然、和尚が、大きな声をあげま
した。



「どうしたのですか。和尚さま」
「三郎さ、みてごらん。
十一面観音の頭から、小さな観音
さまが一つ消えている」
「一つ消えている?」


            つづく



   昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091112#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。