火とぼし山


    再会 1


七日がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
早めに仕事を終えたきよは、西山
に太陽が沈む頃、次郎が住む村に
向かって出発しました。



「とうちゃん、かあちゃん。行っ
てきます」
「きよ、気をつけて行くのだよ。
次郎君によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれ
ました。



「今夜は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみます。
きよは、何時間もかかる遠い
道のりも、真っ暗な夜道も、次
郎に会えると思うと少しも苦
になりませんでした。


         つづく