火とぼし山


   次郎の見合い 1


一カ月がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
きよにとって、この一カ月は、気
が遠くなるほど長い時間でした。
後二十九日、後十五日、後八日
・・・と、次郎に会える日を指おり
数えて待っていました。



「次郎さんに会いたい」
「次郎さんの笑顔がみたい」
この一ヶ月、きよは次郎のこと
ばかり考えてすごしました。



西山に太陽が沈む頃、きよは次
郎が住んでいる村に向かって出
発しました。
「今日は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみました。


       つづく