火とぼし山


   月に一度の出会い 11


「まあ、どんなに仲がよくても、
たまにはけんかもするさ。この
わしだって、妻とけんかをする。
わしが、このように妻のやしき
へ通うようになった原因だって、
ほんのささいなけんかだったも
のな」
明神さまは、奥さんとけんかし
た日のことを思いだしました。



「娘よ。青年と仲良くしたまえ。
けんかをしたのなら、一日も早
く仲直りしなさい。けんかが長
びくと、ろくなことはないからのぅ」
明神さまは、心の中で娘に話し
かけました。


         つづく