火とぼし山


    湖を泳ぐ娘 25


「そんな時は、すーいすーいと、
早く泳げるの。誰かが、たぶん
神様でしょうね。私を守ってい
てくれるのだなって思うわ」
「きよちゃんが、魚に? そんな
ばかな」
そういって、次郎はだまってしま
いました。



「今夜は、きよちゃんの話につい
ていけない」
次郎は、心の中でそっとつぶや
きました。
きよちゃんが、いくら泳ぎが達者
でも、こんなに早く湖を泳いでく
るなんておかしい。どう考えても、
変だ。


        つづく