女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの


女神さまからのおくりもの 93


第五章 それぞれの思い 11


「はい、わかっております。私が、家柄のいい
家に生まれていたら、おじょうさまと結婚させ
てくださいと、お願いしたと思います」
「なんだと! 清太」
吉衛門は、興奮して大声でいいました。


「わしは、清太のことが大好きだ。清太のこと
を、いつもじまんに思っていたのに。なぜだ」
吉衛門は、自分がみじめでした。


「でも・・・おら・・・いや、私の家は、貧し
い。食べていくのが精一杯です。それに、第一、
家柄が違います。だから、どんなにおじょうさ
まが好きでも、おじょうさまと結婚させてくだ
さいとはいえません。いや、いってはいけない
と思います」
清太は、自分にいいきかせるように、静かにい
いました。


         つづく