火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 28


第三章 湖の氷の上を歩く娘 10


一方、きよと次郎は、いつものように一晩中
語りあかしました。
仕事のこと、家族のこと、霧ケ峰高原へ花を
みに行った時の思い出などを、夢中で語りあ
いました。
離れて暮らす二人にとって、この時間は貴重
な時間でした。


次の朝。
きよは、さみしそうに家に戻って行きました。
次郎は、きよのさみしそうな姿をみるたびに、
心が痛みます。
でも、住みこみで働いている次郎には、どう
することもできませんでした。
湖に氷がはっている間、二人は何度か会いま
した。
五日に一度は、会っていたでしょうか。


         つづく