火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 23


第三章 湖の氷の上を歩く娘 5


「次郎さん。はい、お酒」
「お酒?」
「寒いから、次郎さんに飲んでもらおうと
思って、持ってきたの」
きよは、小さなとっくりを、次郎にわたし
ました。
「うまいっ」
次郎は、うまそうに酒を飲みました。


「きよちゃん。この酒、温かい。どうしたの」
「次郎さんのことを思いながら、歩いてきた
の。それだけよ」
きよちゃんは、おらのことをこんなにも思っ
ていてくれる。
次郎は、幸せでした。


          つづく