火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 61


湖を泳ぐ娘 7


そして、「きよちゃんは、おらがともす火を
目印に、ここへたどりついているのだな」と、
次郎は思いました。


「次郎さん、魚よ」
「魚?」
「泳いでいる途中、つかまえたの。後で焼い
て食べよう」
きよは、次郎に魚をわたしました。


「きよちゃん。早く髪をかわかさないと、か
ぜをひくよ」 
次郎は、自分のてぬぐいを、きよにわたしま
した。
きよは、そのてぬぐいで髪をふきました。
次郎のにおいが、ぷーんとしました。
きよと次郎は、いつものように、一晩中語り
あかしました。
楽しいひとときでした。


         つづく