火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 87


新しい出発 16


次郎も、主人の姪に会うまでは、きよのこと
が大好きだった。
でも、みよに会ってから、次郎の心はだんだ
んに変わっていったのだろう。
そして、次郎は、大きな農家のむこになりた
いと思うようになったのだろうな。


きよ。次郎のことは忘れるのじゃ。心がはな
れてしまった人に、いくら心をよせてみても
どうなるものではない。
次郎のことは、忘れてしまいなさい。
そして、一日も早く、きよにふさわしいすて
きな人をみつけてほしい。
明神さまは、眠り続けるきよの顔をみながら、
心の中で話しかけました。


          つづく