ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」


ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」5


「かな、いいものをあげよう。桜の鈴だよ。
ほら、いい音がするだろう」
「リーン・リーン・リーン」
校長先生が鈴をふると、鈴虫が鳴いているよ
うな音色が、あたりにひびきわたりました。



「かな、この鈴をふるとね、花や小鳥とお
話ができるのだよ。
でも、本当にやさしい心をもっている時しか、
花や小鳥とお話することはできない。



かなが今のようなやさしい心をずっともち
続けることができれば、かなが好きなお月
さまや星とも、お話ができるようになるよ」
「わぁ、うれしいなぁ。もしかして…もし
かして…その鈴は小桜姫さまが大切にして
いた鈴ですか?」



「どうして、かなはこの桜の鈴のことを知
っているの?」
「とうちゃんがなくなる時、小桜姫さまは
二つの鈴を大切にしていたのだよって、話
してくれたから」


          つづく



ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。


リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。











「校長先生と桜の鈴」の章の挿絵 (裏表紙)





http://www.bk1.jp/product/02593627