火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 29


次の朝。
「次郎さん。今度はいつ会えるの」
きよが、いつものように聞きました。
「秋のとりいれが終わってからかな」
「そんなのいや。せめて、月に二度
は会いたい」
きよは、自分の気持を次郎に伝えま
した。



「きよちゃん。今、野良の仕事が忙
しい。だから、無理だよ」
「そんなことをいって、次郎さんは
私と会うのがいやになったんじゃ
ないの」
きよがさみしそうにいいました。


         つづく