[童話]火とぼし山
火とぼし山 24
第三章 湖の氷の上を歩く娘 6
「ほんとに仲のいいカップルじゃのぅ。みて
いても、うらやましいくらいじゃ。娘の名前
は、きよ。青年の名前は、次郎というのか。
やさしそうな、感じのいい娘じゃのぅ。娘の
あのうれしそうな顔。なんてすてきな笑顔だ
ろう」
娘をみとどけ安心した明神さまは、下諏訪の
奥さんのやしきへいそぎました。
「ただいま」
「おかえりなさい。遅いから心配していたのよ」
奥さんが、ほっとした顔でいいました。
「ここへくる途中、湖の氷の上で、娘に会って
のぅ」
「娘さんに?」
つづく