火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 25


第三章 湖の氷の上を歩く娘 7


「湖の氷は、まだ薄い。娘が湖に落ちたら
大変だと思って、そっと後をつけたのじゃ。
娘は、青年に会うために、山の中へ入って
いった。うらやましいくらい仲のいいカッ
プルだったよ」
明神さまは、奥さんに娘の様子を話しました。


その夜。
明神さまは、家来の手長と足長をよびました。
「明神さま。何かご用でしょうか」
「夜遅く、もうしわけない。早速じゃが、二
人に頼みたいことがあるのじゃ」
「何でございましょう」
「実は、夜中に、湖の氷の上を歩く娘がいる
のじゃ」


         つづく