火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 73


新しい出発 2


きよは、暗闇の中を、向こう岸にむかって
泳いでいきました。
しばらくすると、西山にぽっと小さな火が
ともりました。
「あっ、次郎さんだ。今日も火をたいてく
れたのね。ありがとう」
きよは、西山にともった小さな火をみて、
ほっとしました。


しかし、何か変でした。
今日の火は、少し南によっているような気
がする。
気のせいかしら。
次郎さんがともしてくれた火だもの、まち
がいない。
あの火を目印に、泳いでいこう。


        つづく