2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

母の短歌11

セーターの仕上げアイロンかけつづく 熱きにほひの部屋に漂ふ 寝苦しき夜もなくしてこの夏も 過ぎ馬追の鳴く時となりたり 清掃の終はりし川の底澄みて 夏休みの児等声あげて遊ぶ 褐色の溶岩続く鬼押出しの 岩間に群れて岩鏡咲く

柿の実

「花のほほえみ」より 柿の実

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴12 「でも……姫さま、せっかく……お話 ができるようになったのに、……もう すぐ……お別れしなくてはならないの ……残念だわ」 「なぜ?」 「私たち……もうすぐ……ちってしま うの」 「でも、また会えるでしょ?」 「ええ、姫さま。来年……また会いま し…

母の短歌10

小春日の障子に映る松の枝に 遊ぶ小鳥の幾群れかあり 吾娘の弾く「雪の降る町に」にあはせつつ 声はりあげて我も歌ひぬ 山の上にかく開けたる美ヶ原 色とりどりの花乱れ咲く はり替へし部屋の襖は梅雨の日の 部屋にひときは鮮やかに見ゆ

まさきの実

「花のほほえみ」より まさきの実

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴11 姫は何度も鈴をふり、桜の花に話 しかけました。 「こんにちは。私、小桜よ」 「……?」 「はじめまして。私、小桜です」 「……小桜?」 桜の花がとまどっている様子が、 姫にもわかりました。 「桜さん、聞こえますか?」 姫は、桜の花に話し…

りゅうのひみつ日記

11月19日 かんそう[童話]白駒の池物語を読んだ 野をこえるんだよ おしまい 白駒の池物語105 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081119#p1 今、みほようこの日記では、 「白駒の池物語」を連載しています。 「白駒の池物語」は、信州佐久にあ る湖・「…

母の短歌9

日本シリーズに優勝せしを喜びて 巨人びいきの夫は祝杯をあげる 天ぷらを九十人分揚げ終へて 外の空気をふかぶかとすふ うす暗き一茶住みしとふ土蔵の中 我等しばし息つめて立つ 苦土石灰まきて野菜を作らむと 連作さけつつ小さく区切る

南天の紅葉

「花のほほえみ」より 南天の紅葉

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴10 次の日。 姫は桜の木の下へ行き、桜の鈴を 七回ふってみました。 「リーン・リーン・リーン…」 すんだ音色が、あたりにひびきわ たります。 「昨日、桜の花が話していたこと は、本当かしら?」 姫は、桜の花に話しかけました。 「こんにちは…

母の短歌8

独り居の部屋にかそけき音立てて 娘の生けし茶の実ころがり落ちぬ 一日を共同炊事に立ち働きて ほてる足裏床に伸ばしをり 我がバスのあぐる砂埃は谷越えて 落葉松林にすひこまれゆく 里に来て昔のままなる飯台の 吾が座にすはり老母と茶をのむ

岩山つつじ紅葉

「花のほほえみ」より 岩山つつじ紅葉

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴9 「そうそう、小桜姫さまはね、… ふしぎな鈴を…もっているですって」 「ふしぎな鈴って…どんな鈴なの?」 「その鈴はね、桜の花びらの…鈴でね」 「みんな聞いた? 桜の花びらの鈴…ですって」 「その鈴を…靜かにリーン・リーン・ リーン…と何回か…

母の短歌7

除夜の鐘聞きつつ小石に心こめ 般若心経書き入れてゆく 吾子の合格発表待つ二週間 望みと恐れもちてわれ過ぐ 庭の松鮮やかに映るを楽しみて 朝な朝なに廊下をみがく 庭隅の萌黄の中にさつきのみ 燃え立つ如く紅に咲く

柿の実

「花のほほえみ」より 柿の実

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴8 姫が十才になった春のある日。 姫は庭へでて、満開の桜をじっと ながめていました。 そして、おとうさんからもらった 桜の鈴を、何回かふってみました。 「リーン・リーン・リーン…」 姫が七回鈴をふった時、どこから か話し声が聞こえてきまし…

母の短歌6

年老いし船頭の額に汗光り 瀬の荒くして舟足の速き 我が母に示す吾子のいたはりを 心足らひて夫と語りぬ 音立ててのうぜんかつらの散り落ちぬ 一人静かに草ぬきをれば いつくしみ育てしカナリヤをのみし蛇 巣にとぐろまき息づかひ荒し

岩山つつじ紅葉

「花のほほえみ」より 岩山つつじ紅葉

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴7 その鈴は、諸国を旅していた坊さ んが、大江家に泊まった時、お礼 にくれたものでした。 「この鈴を、大切にするように」 そういって、坊さんは立ち去った そうです。 一つは、桜の花びらで囲まれた中 に、小さな鈴が入っていました。 「リーン…

母の短歌5

ふくよかな香り漂はせ今日も又 マイクで呼びてリンゴ車通る 陽に光る雨の細かく降る中を しぶきを浴びつつ舟下りする 芽吹き来し萌黄の中の岩間より ひときは映ゆる白き米花 鉢植えの福寿草の花散り過ぎて 葉のしげれるを土に下ろしぬ

花のほほえみ

「はてなフォトライフ」の 「花のほほえみ」を、更新しました。 いちょう・岩山つつじ・南天など の紅葉(黄葉)、木の実の写真を 追加しました。 http://f.hatena.ne.jp/dowakan/

いちょうの黄葉

「花のほほえみ」より いちょう黄葉

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴6 庭へでると、朝顔の花がたくさん 咲いていました。 「わぁ、たくさんの朝顔!!」 姫は一つ・二つ・三つ…と、花を 数えはじめました。 しかし、たくさんすぎて、幼い姫 には数えることができませんでした。 「ねえ、おとうさま。花はいくつ 咲…

りゅうのひみつ日記

11月13日 かんそう[童話]白駒の池物語を読んだ 心をひかれるのかー おしまい 白駒の池物語99 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20081113#p1 今、みほようこの日記では、 「白駒の池物語」を連載しています。 「白駒の池物語」は、信州佐久にあ る湖・「…

母の短歌4

一本の細き毛糸に夢たくし 今日も一日セーターを編む 年毎に我宛の賀状へり行くも 子等への賀状年毎に増す 夜更けまで机に向かひ励む子に 鍋焼きうどんそっと置きくる 福寿草の鉢を日向に移しつつ ぬくき日ざしに背を向けて座る 久々に畑に出でて耕せる 今宵…

桜紅葉

「花のほほえみ」より 桜紅葉

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴5 「わぁ、いい声。うぐいすさん、 じょうずに鳴けるようになってよ かったね」 姫は、うぐいすに話しかけました。 うぐいすもうれしそうです。 姫のおとうさんは、小鳥が大好き。 小鳥の鳴きまねもとてもじょうず でした。 「姫、きてごらん。椿…

母の短歌3

かりそめの蛇口をひねり待ちし日の 長かりしかな今日の通水 メモをとり七輪かこみて和やかに 料理実習の一日の短し 増水で非常召集受けし夫 リュック背負ひて足早に行く 我がとりし初なりの瓜青々と 今宵のサラダに色映えて見ゆ 淡き光川面に写し読経ととも …

りんご

「花のほほえみ」より りんご

ふしぎな鈴

ふしぎな鈴4 「おとうさま、おとうさまー」 姫が、大声でおとうさんをよんで います。 「おとうさま、あの鳥は何という 鳥?」 「姫、うぐいすだよ。じきじょう ずに鳴けるようになるから、そこ で聞いていてごらん」 おとうさんがいいました。 「ホ…ケキョ…